世界マスターズ水泳大会2連覇への挑戦:成功の秘訣と実体験(前編)

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2年に1回、世界選手権の後に開催される『世界マスターズ水泳選手権』

マスターズ水泳の国際大会であり、マスターズ水泳界では世界最高峰の大会です。 *Wikipedia参照

 

2023年の福岡大会に初めて出場し、200m背泳ぎで優勝しました。

当時は初めての国際大会だったため、とにかく楽しむ挑戦者として出場しました。

誰の期待もなく、何のプレッシャーもなく。ただの水泳が大好きな一人のスイマーとして。

 

2024年は一味違いました。

2連覇したい自分自身への期待、周囲からも2連覇を望む声。

 

そんな中、2023年8月の初出場・初優勝から、2024年2月の2連覇までの挑戦の道のりを紹介します。

そして2025年のシンガポール大会での3連覇に向けてのわたし自身の挑戦とともに、一緒に世界マスターズ水泳大会に出場したいと挑戦する人が増えれば幸いです。

 

この記事は以下のような人におすすめ!

  • 世界マスターズ水泳大会に興味・関心がある人
  • 水泳大会に向けてのトレーニング方法やメンタル面で悩んでいる人
  • これからマスターズ水泳を始めてみたいと思っている人

 

今回は長くなりそうなので、世界マスターズ ドーハ大会までのエントリー、大会までの準備期間のことを前編、大会直前から大会を終えてまでを後編に分けて紹介します。

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世界マスターズ水泳選手権とは

世界マスターズ水泳選手権とは世界各国から集まったアマチュア選手が競い合う国際的な水泳大会です。

2年に1回世界選手権の後に開催されています。

※2019年の光州大会以降は、コロナの影響で2023〜2025年まで連続で開催

 

出場資格は『マスターズ登録している25歳以上で、World Aquatics(WA)が定める参加標準記録が切れるだろう人』となっています。

参加標準記録については非常に制限が甘く、この記録が突破できていなくてもエントリー・出場は可能です。

しかし、この記録がレース本番で突破できないと結果がNT(=No Time) と表記され、リザルトで自分の記録を確認できません。

参考までに、2024年ドーハ大会の際の各年齢、種目、性別ごとの標準記録を掲載しておきます。

合わせてどの種目があるかもわかるので、エントリーの参考にしてください。

エントリー方法

エントリーは大会の数ヶ月前になるとWorld Aquatics(WA)のHPに詳細が掲載され、World Aquatics GMSというシステムから申し込みが可能となります。

 

参考までにドーハ大会の時のスケジュールを紹介します。

大会開催日は2024年2月23日〜3月3日でした。

・公式HP・要項掲載:2023年秋ごろ

・大会出場登録:2023年10月19日〜2024年1月16日

・出場種目登録:〜2024年1月16日

 

公式HP、要項が出たタイミングは正確には覚えていませんが、23年8月の福岡大会が終わってからだったので、9月ごろかつ登録開始前だった気がします。

 

具体的なエントリーまでの手順を紹介します。

マニュアルも用意されていますが、日本語のマニュアルがない大会もあるため、言語に自信のない方は参考にしてください。

全体のステップはこちらです。それぞれのステップの実施方法はこの後、紹介します。

World Aquatics GMSの登録(Create an Account)

World Aquatics GMSというエントリーシステムのアカウントを作成します。

こちらは初めて世界マスターズに出場する方のみ登録が必要です。

過去、出場したことがある方、もしくはWorld Aquatics関係のイベントや大会に出場したことがある方はアカウントが作成されていますので、ご登録のEmail, パスワードにてログインしてください。

・初めての方:Create account
Email, Category(Masters-Athlete), Passwordを2回入力しCreate account
登録アドレスにメールが届くので、リンクをクリックしアカウントをアクティベートする

・既存の方:Email, Passwordを入力し、✔︎を2つ入れLogin

プロフィール情報を入力する(Complete Profile)

基本情報を入力します。

複数タブでページが分かれているので、それぞれ入力する必要があります。

赤枠で囲われた項目は必須入力となっています。

【General(一般情報)】

・Accreditation Photo(写真)
・Given Name(名前)
・Family Name(名字)
・Legal Sex(法的性別)
・Chromosomal Sex(染色体の性別)
・Date of Birth(誕生日)
・Country of Birth(出生国)

【Contact(連絡先)】
※神奈川県横浜市保土ヶ谷区常盤台79-1 横浜国立大学の場合

・Street(町名):常盤台
・House Number(番地):79-1
・Name of Place(建物名):横浜国立大学 ※一軒家の場合不要
・City(市区町村):横浜市保土ヶ谷区
・Zip Code(郵便番号):240-0067
・Province(都道府県):神奈川県
・Country(国):Japan ※選択式
・Cell Phone(携帯番号):045-339-3014

【Travel Documents(旅行証明書)】

パスポートをアップロードしてください。

【Club Affiliation(所属クラブ)】

  • Masters Licence(マスターズ証明書):日本マスターズの会員ページ【登録証明書】より取得しアップロード
  • Masters Licence Number(マスターズ登録番号):【登録証明書】に記載のRegistrered No.

 

上記以外にも項目がありますが、入力不要です。

大会出場登録と支払い(Register and Pay for the Event)

 【Event】タブより出場する大会を選択し、【Proceed to Registration】より出場登録を行います。

 

【Registration】

・Responsible Organization(責任組織):Masters Club
・Functions(役割):Masters-Athlete
・Registration Event(登録大会)
・Disciplines(区分):どのクラブからどの競技に出場するか
 ※所属クラブは英語で一部入力すると選択肢あり
 ※見つからない場合は自由入力
・Travel Document:Profile入力していれば自動反映される
・Visa:必要に応じてVisaを取得し入力

必要情報を入力し、【Save/Finish registration】を押下すると登録ができます。

登録後は支払いになります。支払いにはVisa, MasterCardのいずれかのクレジットカードが必要です。

【Payment】より、クレジットカード情報を入力し【Pay】を押下することで支払いが完了します。

 

大会登録費はドーハ大会では役割によって下記の通りでした。

  • Athletes(選手) USD90
  • Coaches/Support staff(コーチ、サポートスタッフ) USD60
  • Family/Acquaintances(家族、知人) USD60

円安だとなかなかの高額ですね。

大会登録費だけで¥10,000超

 

 

登録完了、支払い完了の際に登録したEmailアドレスにメールが届きますので確認しましょう。

届かない場合は、迷惑メールボックスに受信していないか確認してください。

 

また、サイト上でもステータスを確認できます。ステータスは5パターンあります。

  • Pending:待機中
  • Waiting for payment:支払い待ち
  • Submitted:支払いまで完了
  • Approved:支払い確認完了(大会登録完了)
  • Rejected:何かしらの理由で拒否

Approvedになっているか確認しましょう。支払い後しばらくして登録完了となりますので、すぐに反映されていない場合はしばらく待ってみましょう。

種目登録と支払い(Enter Sports Entries/Pay for Sports Entries)

大会登録が完了されると、種目のエントリーができるようになります。

【Sport Entries】より、出場したい種目を選択し、エントリータイムを入力します。

※エトリータイムは前述の標準記録より早い必要があります。

エントリータイムを樹立した日、地域の入力を求められますが、正直すぎなくても大丈夫です。

 

1人5種目まで、1日2種目の制限があります。(福岡大会、ドーハ大会の場合)

※OWSは別イベントとして扱われます。

【各種目の英語表記】

  • 自由形:Freestyle
  • 背泳ぎ:Backstroke
  • 平泳ぎ:Breaststroke
  • バタフライ:Butterfly
  • 個人メドレー:Individual Medley
  • リレー:Relays

背泳ぎと平泳ぎはぱっと見似ているので気をつけましょう!

出場種目の登録が終わったら、1種目USD25の支払いです。

 

大会登録費同様Visa/Mastercardのいずれかで支払います。

注意点としては、出場予定種目全ての登録後に支払いをしてください。

支払いまでは出場種目、エントリータイムの変更は可能ですが、支払い後は原則変更できません。

 

お間違えないよう、しっかり確認してから支払いに進みましょう。

せっかく海外に行って、本当に泳ぎたい種目に出場できないなんで残念すぎますよね?

 

大会登録時と同様に、5つのステータスを確認できますので、しっかりApprovaledになったか確認しましょう。

種目のエントリーのApprovaledは福岡、ドーハいずれの時も1週間程度かかりました。

【利用マニュアル(英語)】

大会に向けてのトレーニング

2023年8月の福岡大会の後、2024年2月のドーハ大会までの約半年間、2連覇に向けてどんなことをしてきたか。

読者の中にはわたしと同じようにサラリーマンをしながら、マスターズ水泳をしている方もいると思います。

 

半年間のスケジュールとトレーニングに対する考え方、モチベーションの維持方法など、大会に向けた準備を紹介します。

前提として“楽しむ”がベースなので、細かく管理していたわけではないし、本業と並行しての取り組みなので、緩くやっております。

2023年8月〜2024年2月までの全体スケジュール

約半年間の大会出場やその時にどんなテーマで練習していたかの全体スケジュールです。

2023年8月:気分転換、テクニック見直し

8月上旬に大会が終わり、その後は一気に集中力が切れ気分転換をしていました。

実家に帰省したり、旅行に行ったり。

練習もテクニック中心で強度の高い練習はしてません。

とはいえ、泳ぐことは好きだし、リフレッシュになるので泳いではいました。

 

所属のチームの週3の練習会や1人でプールに行き2,000mほど泳ぎを確認していました。

2023年9月:ジャパンマスターズに向け始動開始、練習距離増やす

9月中旬にジャパンマスターズがあったので、少しずつ練習の強度を上げ始めました。

とはいえ、次に照準を合わせていた大会は23年11月の社会人選手権だったので、ジャパンマスターズは通過点の大会としていました。

 

世界マスターズ以降、見直していたバサロやベースのスピードを上げる練習を始めていたのでそれを実践で試す位置付けです。

大会以降は練習距離を増やしたり、合宿に参加したりとさらに強度を上げています。

2023年10月:練習回数、1回あたりの距離増やす、いろんな種目を泳ぐ

これまで練習のほとんどを専門種目の背泳ぎだけで泳いでいましたが、全身を使うことと体力UPのために様々な種目を泳ぐことを意識していました。

大会では400IMにエントリーすることで、練習中に気持ちが負けて背泳ぎ一択にならないよう気をつけていました。

2023年11月:2大会出場、練習強度UP

上旬に社会人選手権があったので、練習は距離は維持しながらも、200のレースを意識するための練習を増やしました。

基本的には所属チームの練習会のメニューを取り組むので、内容をアレンジしています。

 

社会人選手権以降は再びいろんな種目・距離を泳ぐ練習をして、11月下旬の大会も普段なら絶対にエントリーしない50Frと100Flyに出場しました。

結果は….慣れない種目は難しいですね。

2023年12月:3大会出場、さらに泳ぎ込み

3試合に出場し、年末は地元のスイミングの選手コースに参加し泳ぎ込んだりと一言で忍耐の月でした。

試合は引き続き普段泳がない種目50Baを2回、800Fr、200Fr(リレー)100Fr、50Flyに出場しました。

練習は選手コースに混ぜてもらい2時間弱6000-7000m泳ぎ込んだり、年末恒例煩悩スイムを行ったりととにかく量をこなす時期でした。

2024年1月~大会まで:大会4回、スピード練習

背泳ぎや個人メドレー中心のエントリーでドーハ大会を見据えて大会に出場し始めました。

練習もスピード系やスピード持久系など大会に向け本格的に追い込みました。

 

週に1回以上は200mや100mAllout(全て出し切るレベルで泳ぐ)をしたり、Broken(200/100を分割して合計をベストより速く泳ぐ)を取り入れ、レースを想定したスピード練習を行なっていました。

福岡大会からドーハ大会までに意識的に取り組んだこと

テクニックを磨く、練習量を増やす、練習強度を上げるなど基本的なことに加え、この半年間で特に意識的に取り組んだことは3つです。

①ウェイトトレーニングを取り入れた

②外部練習に月1~2回参加

③背泳ぎ以外の種目、スプリント練習に取り組んだ

なぜこの3つを意識的に取り入れたかというと、これまであまりやってこなかったからです。

どちらかといえば200m種目の方が得意なので、パワーやスプリント系は疎かにしていたし、背泳ぎで練習ができるなら他の種目を泳がなくてもいいと考えていました。

 

また、練習環境についても所属先では週3回練習会があるし、他店舗を含めるとほぼ毎日どこかで練習会に参加できるので満足していました。

 

けれど、当時の50mのタイムではこれ以上200mのタイムを上げることが厳しいと感じ始めていたので、ウェイトトレーニングとスプリント練習でパワー系やスピードアップを試みました。

加えて、いろいろな種目を泳ぐことで全身満遍なく動かせるようになり、それぞれの種目の良いところが背泳ぎに生きてきた気がします。

 

さらに練習環境については、いつも同じようなメンバーで練習するのではなく、たまには違うチームの人と練習することで刺激を入れたいと思い外部練習にも参加し始めました。

これは本当に参加し始めてよかったです。

所属先ではできない高強度の練習を同じレベル、同じ年代の人と追い込めるいい機会になっていました。

 

半年間の取り組みのまとめ

福岡の世界マスターズ後や社会人選手権後は一時的にやり切った感から気持ちが抜けていましたが、それも気分転換の時期と思い、特に焦ることなく過ごしていました。

またそんな時期はいつもと違う種目で練習に取り組んだり、大会に出たりすることで本命の背泳ぎに生かすこともできたし、気負いすることなく半年間取り組めたと思っています。

 

そして、気持ちが抜けていたとしても月1回程度は大会に出続けていたのも振り返るとよかったと考えています。

どんなに気持ちが抜けていても大会があれば練習するし、大会になればスイッチが入ってしまう。

大会の結果から、自分の立ち位置が分かり、今後何をすれば良いか明確になる。

何より、大会会場に行けば他チームのマスターズスイマーに会える。これが一番やる気にさせてくれるし、マスターズ水泳の楽しいところだと考えています。

 

もう1つポイントを加えるとしたら、集中して取り組めるのは2-3ヶ月が限界ということです。

本格的に練習強度を上げた練習をし始めたのはドーハ大会の2-3ヶ月前で、それまではいろんな種目で量を泳ぐこととテクニックの改善に注力していました。

 

この取り組み方が全ての人にとって最適解とは思いませんが、水泳大会に向けてのトレーニング方法やモチベーション維持で悩んでいる人や今よりさらにレベルアップしたい人にとって、参考になれば幸いです。

まとめ

今回の記事では世界マスターズ水泳選手権2連覇に向けた挑戦について、エントリー方法と福岡大会からの取り組みについて紹介しました。

後編として大会直前の準備から大会を終えてまでを紹介します。

 

この記事のまとめです。

  • 世界マスターズ水泳選手権とはアマチュアスイマーのための世界大会
  • 大会には毎月1回以上出場し現状把握と他チームの選手と交流でモチベーション維持
  • “楽しむ”がベースで追い込みすぎない

この記事を読んで、1人でも多くの方が来年の世界マスターズ シンガポール大会に出場したいと思ったり、マスターズ水泳を始めたい、もっと頑張りたいと思うきっかけになれば幸いです。

ひとつひとつの行動はいつもの何気ない一歩ですが、気づいた時には大きく前進しています。

 

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