【実体験】これがリアル!JICA海外協力隊の活動(カンボジア 水泳隊員Ver.)

青年海外協力隊
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JICA海外協力隊員はどんな活動をしているの?

1日のルーティンは?

活動で悩みや壁にぶつかることはあるの?

現地の人との関わり方は?

活動を通してどう成長した?

 

JICA海外協力隊に興味がある方やすでに選考中・派遣直前の方は上記のような疑問を抱くのではないでしょうか?

派遣国・職種・活動先によって活動内容や1日のルーティンは大きく異なるので、あくまで『カンボジア 水泳隊員』だったわたしの場合の活動内容を紹介します。

 

この記事は以下のような人におすすめ!

  • JICA海外協力隊の活動内容の事例を知りたい人
  • JICA海外協力隊として活動しており、活動の新たな切り口を探している人
  • 国際協力や社会貢献に興味がある人
  • 海外や異文化体験に興味がある人
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要請内容と活動目標

それぞれの派遣要件に『要請内容』というものがあります。

同じ派遣国・職種であってものこの『要請内容』が大きく異なり、期待されていることも異なります。

基本的にはこの『要請内容』に沿って、活動することになります。

 

わたしの場合、カンボジア水泳隊員として下記のことが期待されていました。

  1. カンボジア人のコーチと共に、選手たちへの指導・助言
  2. さまざまな年齢層・レベルの子供に対するレッスンを行い、新たな指導法の提案と実践を行う
  3. 他の水泳隊員と共に協力し、指導書の作成を行う

特に、プノンペンに次ぐ第2の拠点としてコンポンチャムで上記活動を行うことを求められていました。

実際に行った活動

活動要請を基準に3つの活動方針を掲げ活動していました。

  1. 選手の強化
  2. 地方都市(コンポンチャム)での水泳普及
  3. 現地コーチの育成

わたしの考えとしては、JICA海外協力隊はたった2年間しかいません。

活動終了後に現地の人たちが自立して、継続して行動していけるようにするのがわたしの目標でした。

 

そのため、競技人口を増やし選手層を厚くすること、現地コーチが自らチーム運営、普及活動ができるようにしたいと考えて上記方針を掲げました。

では、それぞれどんな活動を行ったか具体的に紹介します。

選手の強化

当時8人ほど泳げる子がいました。

この子達は元々は祖父が元水泳選手で泳ぎ方を教えてもらっていた子とその近所の子1人でした。

そしてわたしの前任2人が継続して教えていた選手です。

その選手の強化を行いました。いわゆるスイミングのコーチ的な活動です。

 

赴任した日は選手たちのことを知ることと、わたしのことを知ってもらうために自己紹介の時間やパーソナルデータを書いてもらうところから初め、翌日以降から練習を始めました。

初めはちゃんと練習していたのですが、1週間も経たないうちに雲行きが怪しくなります。

 

参加率は低く、気分で休んだり頑張ったりと波が激しかったです。

日本では考えられませんが、練習はサボるけど、プールの観覧席でラーメンを食べて眺めていたり、プールサイドで走り回ったりしています。

練習に来てもだらだら泳いだりと、コーチってこんな気分だったんだと考えさせられました。

 

サボることに悪気がないのか、悪気はあるが構ってほしくてそうしていたのか…

『練習に参加してもらうこと』が選手強化の活動の中で最も苦戦しました。

 

練習をイベントごとのようにしたり、ミーティングを実施したり、思い切って休みにしたり、一緒に泳いでみたりととにかく思いつく限り色々なことを試してみました。

 

もちろんその中で選手とコミュニケーションを取ろうと話を聞いてみましたが、មិនសូវល្អ:(あまり良くない)と高頻度で言われ、『具体的に何が良くないんだよ!』と何度心で突っ込んだかわかりません。

練習に対してなんとなく感情が乗らない部分をもう少し聞き出せれば良かったのですが、言葉の壁や信頼関係の影響かうまく引き出してあげることができませんでした。

 

この点を現地のコーチにフォローして欲しかったのですが、なんとわたしの活動先にはカンボジア人コーチはいませんでした。

プール管理人として、選手の親戚と連盟に雇われたおじさんがいましたが、練習に関しては無関心で指導はボランティアの役割と考えているようでした。
※この点の詳細は後述します。

〔どうしても練習に入水したくない2人〕

 

苦戦することもありましたが、うまくいくこともありました。

練習のモチベーションが上がらない要因の一つとして、『次にいつ試合があるかわからない』点がありました。

試合の開催はプノンペンにある水泳連盟に委ねるしかなく、協力隊員ではコントロールできない点でした。

そこで活動の状況を定期的に連絡し、任地のコンポンチャムの様子を共有したり、大会開催に向けて準備している情報を得たり、練習に対しての姿勢の指導など協力してもらい、モチベーションの維持をサポートしてもらっていました。

〔大会直前の練習後〕

連盟とわたしたち隊員の思いは同じ方向を向いており、『カンボジアの水泳を強くしたい』という思いがあったので、時々車で2時間かかるコンポンチャムまで来てくれたおかげで、言葉が拙くて伝わりきらなかった部分を伝えてもらえました。

 

おそらく1人でなんとかしようとしていたら、さらに状況は悪くなっていたと思います。

現地の人と一緒に作り上げていくものだと考えていたからこそ頼ることができたし、サポートしてもらえたと考えています。

地方都市(コンポンチャム)での水泳普及

活動方針の2つ目は競技人口を増やすために『水泳普及』活動です。

コンポンチャムには8名ほどの選手しかいませんでした。

競技力向上には水泳人口を増やす必要があります。特にこれまでほぼ親族のみが選手として練習しており閉鎖的な環境だったこと、少ない競技人口だと競争力が生まれにくいです。

 

この状況を改善するために、少しでも水泳に興味を持ってもらい、水泳を始める人を増やすために、カンボジアの夏休みにあたる約2ヶ月の期間に無料の水泳初心者講習を開催しました。

 

この講習を開催するまでに超えなければならない壁がありました。

それはプール管理人を説得することです。

プール管理人は選手の親族であり、余所者の新規参入をあまり快く思っていませんでした。

なぜなら大会で賞金がもらえるため、選手が増えるともらえる可能性が下がると考えているから。

あと、無料で教えることに快く思っていなかった気がします。

 

とはいえ、協力隊員はその親族のために派遣されているのではなく、その国や街の人の役に立つために存在しています。

この点は前任者がプノンペンの連盟責任者に掛け合ってくれ、任地の管理人の説得を一緒に行ってくれました。

 

そしていざ初心者講習が始まりましたが、初日は3人、最終的にはのべ30人ほどが参加してくれました。

2ヶ月後も継続して練習に参加してくれたのは5名ほど、うち2名はコンポンチャムの地方大会出場し50m自由形を泳ぎ切れたので、十分成果があったと考えています。

現地コーチの育成

最も力を入れたかった活動は『現地コーチの育成』です。

わたしの最終ゴールとしては、協力隊員が帰国した後も現地の人が自らの力で活動を続けていけることだったからです。

 

これまではマンパワーとして協力隊員を要請していたのか、わたしの赴任は3代目でした。

今後もこの状況が続くのであれば、正直、ビジネスとして水泳指導をする方が良いと考えていました。

そのため、彼らが自立できるように、指導やチームビルディングのノウハウを伝えていこうと赴任時から考えていました。

 

結論としては、全くできませんでした。

 

その理由として、現地の人にそれほど水泳を普及させたい意欲がなかったからだと思います。

自分たちの親族が大会に出場し、賞金や参加手当がもらえればいいと考えているようでした。

一方で、水泳連盟は地方でも水泳を普及させ、競技力を向上させたかったようです。

ここに温度差があり、隊員期間中にこの温度差を埋めることはできませんでした。

 

温度差が埋まらないのであれば、プノンペンのコーチを根本チャムに1人派遣してほしいと要請もしましたが、プノンペンから離れたくないようでうまくいきませんでした。

 

そうやってがむしゃらに模索しているうちに2020年3月を迎え、コロナパンデミックの影響で強制帰国、再派遣が叶うもコンポンチャムでの活動再開は不可能ということで、再赴任先はプノンペンになり、24年現在もコンポンチャムの水泳は止まってしまっています。

 

コンポンチャムの水泳をわたしで止めてしまったこと、今でも再開の見通しがたっていない事はずっと心残りになっています。

どんな形になるかわかりませんが、コンポンチャムで再度水泳ができるようにしたいと今でも思っています。

活動日の1日のルーティン

基本的に朝から夜まで活動先であるプールにいました。

エアコン、 Wi-Fi完備で快適だったのと、プール管理人と話したり食事したりするためです。

参考までに1日のスケジュールを紹介します。

あくまで一例で、朝練は週3、初心者練習は週2、育成練習は週3なので、もっと時間に余裕がある日もあります。

5:30-6:30 選手練習
8:30-10:00 自主練習
10:00-11:00 初心者練習 Team1
11:00-14:00 昼食・休憩
14:00-15:00 初心者練習 Team2
16:00-17:15 選手練習 Team1
17:15-18:30 選手練習 Team2
18:15-19:00 育成練習
19:00-19:30 夕食
19:30- 帰宅・就寝

カンボジアでは午前と午後に学校に行く日が週ごとに交代します。

そのため、午後に学校に行く選手は16時の練習に間に合わないため、2チームに分けて練習をしていました。

本当は1回にまとめたかったのですが、午前組は早く終わらせたいようで、練習参加率を優先して2回に分けていました。

 

土日は完全に休みでしたが、午前中にプールに行って泳いだり、管理人たちと食事をしたりしていました。

午後からはコンポンチャム内を探検したり、同じ敷地内に住む大家や初心者講習に参加してくれた生徒の家族と遊びに行ったり、自宅に引きこもってゆっくりしたりと比較的自由な時間を過ごしていた気がします。

〔活動先のプール管理人とコンポンチャムの隊員〕

活動の悩みと活動を通しての成長

『わたしがここに来た意味は?』『ただのマンパワーになっていないか?』と常に考えていました。

プノンペンにある連盟に所属しているコーチは過去の協力隊員のおかげもあり知識も経験もありました。そのコーチ達がコンポンチャムに来て指導すれば良いのでは?と思っていました。

選手も親族に練習させられている感が否めませんでした。

 

そんな中、協力隊を要請した理由は?と悩んでいました。

詳しくはこちらの記事に書いていますので、よければ合わせて読んでみてください。

 

さらに、選手が練習をサボると、『コーチはクメール語が下手だから…』と管理人に言われたこともありました。

物事をストレートにいうカンボジアの人の良さでもありますが、

当時はかなりグサっと傷をえぐられました。

そんな中、どうしたら言葉の壁を越えられるだろう、活動がうまくいくだろう、カンボジア・コンポンチャムに来た意味を見出せるだろうと考え・試し続けました。

わたしが活動を通じて成長したと感じたのは以下の点です。

成長したこと・学んだこと
  • うまくいかなくても、挑戦し続ける気持ち
  • 異なる考え方・文化を受け入れる受容性とそれを理解するためのコミュニケーション能力
  • たまには休む・様子を見る心の余裕

ここでは活動を通じての成長や学びですが、カンボジアでの生活やカンボジア人との関わりの中での学びもありました。

この点は別の記事で紹介します。

まとめ

この記事ではカンボジア水泳隊員の活動内容について紹介しました。

派遣国・職種・要請内容によって活動内容の中身は異なりますが活動の目標の根本的な部分は大きく変わらないのではないでしょうか。

知識やスキルを共有し今より良くするであったり、協力隊終了後も現地の人たちが自走していけるようにするであったり。

 

内容をまとめると次のとおりです。

  • カンボジア水泳隊員の活動目標は『選手強化』『水泳普及』『現地コーチの育成』
  • 自分も泳ぎながら、選手・初心者の水泳指導をしていた
  • 活動はうまくいかないことばかりだけど、挑戦し続け、理解するためコミュニケーションを取る

この記事を通じて、JICA海外協力隊の活動内容を少しでも理解できたら嬉しいです。

とはいえ、実際に活動してみなければ感じられないこと・分からないことばかりです。

もしこの記事を読み、少しでもJICA海外協力隊に興味を持った方、下記Linkより募集ページに遷移します。

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