一言で退職と言っても、転職先が決まっている人とフリーランス(ニート)になる人では退職まにすべきことは異なります。
今回は退職しフリーランスになることを決意したあなたにとって、次のステップに進むための重要な準備について紹介します。
この記事では、退職前に必ず実施すべき7つの手続きと準備を優先度が高い順に紹介します。これらのポイントを押さえて、『〇〇しておけばよかった』と後悔することがないようにしましょう。
この記事は以下のような人におすすめ!
- これからフリーランスとなることを決意した人
- 退職手続きの煩雑さに懸念がある人
- 退職後の健康保険や年金などの社会保険関係の手続きに不安がある人
社内の退職手続きの確認
会社ごとに就業規則の中で、退職日の何日前に退職を申し出る必要があるか決められています。
会社を円満退社したいのであれば、就業規則で決められた日数の前までに退職を申し出ましょう。
しかし、法的には原則14日とされています。そのため可能な限り早く辞めたいという方は14日前までには退職の意思を上司や人事など担当部署に伝えましょう。
※雇用形態や雇用期間によって異なるので、辞められない状況の人は適切なところへ相談すべきです。
退職手続きの確認理由
退職前は社内外の引き継ぎ、必要書類の提出、健康保険や年金など社会保険の手続きなど社内で実施すべき事項だけでなく、必要があれば引越しの準備もありすべきことがたくさんあります。
抜け漏れを防ぐためにも、社内での退職手続きは何をすべきか確認しましょう
基本的な退職手順
- 必要に応じて退職の意思を上司と相談→退職届の提出
退職届は社内フォーマットがあれば社内のものを、なければ『退職届 テンプレ』などで検索するとたくさん出てきますので、必要事項を記入して提出します。
参考までにマイナビのリンクを添付しておきます。 - 退職届記載の退職日に向けて、引き継ぎや社内調整などのスケジュール確認
- 必要な書類の提出・取得
【提出書類】
健康保険証など
【取得書類】
雇用保険被保険者証、離職票、退職証明書、源泉徴収票、年金手帳など - 社内外への引き継ぎ
担当交代後にスムーズに引き継げるようデータを残したり、直接後任を紹介 - 退職
入館IDや社員証、PCなどの貸与品を返却
留意事項
退職に伴って大きく環境が変わることになります。
在職中でしか取得できない書類取得や引き継ぎ事項の整理をしておきます。
有給休暇消化と引き継ぎ業務
有休消化は、これまでの労働に対する権利であり、退職前に消化することが推奨されます。
一部企業では未使用の有給休暇を買い取ってくれるところもあるので、自身が在籍している企業がどのような対応か確認することを推奨します。
買取不可であれば、有休消化をしましょう。
また、その一方でこれまで行なっていた業務を後任に引き継ぎを行い、関係者への影響を減らしたり、後任者がスムーズに業務を引き継げるよう最低限の配慮をしましょう。
退職に伴う無駄なトラブルを回避でき、会社への感謝の意を示すことができます。
実施手順
- 有休取得の旨を上司に伝え、スケジュール調整
退職日と引き継ぎにかかる日数に無理のないよう調整する - 引き継ぎ資料の作成/データ入力
後任がスムーズに引き継げるよう資料作成やデータ入力をする(企業や職種により異なる)
必要に応じて対面にてフォロー - 外部関係者への挨拶・後任の紹介
- 有休消化
留意事項
退職後に関係者がスムーズに業務を引き継げるよう心がける。
社内での人間関係やトラブルで退社することになり、会社の後のことは勝手にしてくれ!という方もいるかもしれません。
そういう方は少なくとも外部の関係者には迷惑がかからないよう退社の旨、後任から連絡させる旨だけでも伝えておくのがベターです。
退職金/企業型確定拠出年金の確認と手続き
在籍している企業や在籍年数によっては退職金がもらえる可能性があります。
また企業型確定拠出年金に加入している方もいるのではないでしょうか?
特に企業型確定拠出年金に加入していた人が退職し、フリーランスとなる場合は要注意です。
転職先が決まっている人も手続きが必要ですが、転職先でアナウンスがあったりするので忘れる可能性は低いですが、フリーランスになるということは自分で管理しなければなりません。
退職金の確認理由
退職してから『本当はもらえるはずだったのに…』『適正金額ではない』などのトラブルを回避するために、退職前に社内で確認しておきましょう。
また退職日によって金額が大きく異なる可能性もあるので、その点も合わせて確認するとよいです。
実施手順(退職金について)
- 会社の人事部または総務部に退職金の支給規定を確認
- 退職金の支給額を計算し、明細書を受け取り
支給額は規定に則っているか確認し、妥当な金額でなければこの時点で担当部署に確認しましょう - 必要な手続きを行い、受け取り口座を登録
金額や支払日に問題がなければ、おそらくここで署名することになります。それ以降は異議を唱えにくいので、署名前に必ず確認してください。 - 退職後、指定日に指定の口座に退職金が振り込まれる
もし万が一、期日になっても振り込まれていないのであれば確認が必要です。
そのために必ず事前にいつ振り込み予定かを確認してください。
留意事項
退職金には「退職所得控除額」という非課税枠がある。『勤続年数の長さに応じて多くなり、1年未満は“切り上げ”』なので、ちょうど○年より、○年1日の方が控除額が多くなります。
【参考】
・勤続15年:控除額=40万円×15年で、『600万円の控除』
・勤続15年1日:控除額=40万円×16年で、『640万円の控除』
取得した退職金から控除額を引いた額の50%に対して、所得税と住民税がかかるので勤続年数が長い方が支払う税金が少なくなります(=受取額が多くなる)
企業型確定拠出年金(企業型DC)の手続き手順
転職先に企業型DCの制度がある方は、移行手続きを行います。
転職先に企業型DC制度がない、もしくはフリーランスになる方は個人型確定拠出年金(iDeCo)へ移行します。
今回はフリーランスになる方向けにiDeCoへの移行手順を紹介します。
【重要】加入者資格喪失日(退職等の翌日)の翌月から6か月以内に行う(Ex.4/5退職日→10月末まで)
- 加入している企業型DCの運営管理機関や手続き方法を確認
- iDeCoの運営管理機関(金融機関)を選定
手数料や運用商品、すでに利用中の金融機関をベースに検討しましょう - iDeCoを運用していく機関へ申込み
必要に応じて書類を取り寄せ提出。期限の1ヶ月前までには済ませておくと安心です
『加入者』または『運用指図者』 どちらになるか決める
留意事項
加入者資格喪失日(退職等の翌日)の翌月から6か月以内に行うことです。
万が一手続きの期限を過ぎると年金資産は、国民年金基金連合会へ自動移換され、利息のつかない現金相当の資産として管理されるため、新たな運用指示や積立ができなくなります。そのため、自動移換する手数料、管理手数料、自動移換からの移換手数料の分だけ資産が目減りすることになります。
社会保険の手続き
健康保険、厚生年金、雇用保険、税金納付などを行う必要があります。
これまで企業に勤めていたら全て給与から天引きされており、特に何かする必要もなく支払われていましたが、退職しフリーランスになるとこれら全てを原則自分で行う必要があります。
健康保険
健康保険は3パターンあります。
『任意継続被保険』『国民健康保険』『家族の扶養に入る』
『任意継続被保険』は退職日の翌日から20日以内に手続きをする必要があります。
健康保険の手続き手順
- どの健康保険に加入するか決める
- 申請を行う
任意:会社の健康保険組合または協会けんぽに申請書を提出
国民:市区町村の役所で申請
扶養:家族の勤務先の健康保険組合に申請 - 保険料の納付 ※扶養の場合は扶養者負担
詳しくはこちらのサイトをご覧ください。
厚生年金
退職後は厚生年金から国民年金に切り替わります。
国民年金への切り替え手続き手順
- 市区町村の役所で申請 ※退職後14日以内
必要書類:年金手帳、退職証明書または離職票、印鑑 - 保険料の支払い
雇用保険
必要に応じて失業手当の申請を行います。
雇用保険の被保険者期間が一定期間以上ある場合、会社都合退職であれば待機期間の7日間の後から、自己都合退職であれば7日間の待機期間+2ヶ月給付制限期間の後から、失業手当が支給されます。
失業保険申請の手順
- 離職票の取得 ※退職後10日ほどで企業から郵送される
- ハローワークにて手続き
必要書類:離職票、雇用保険被保険者証、本人確認書類、写真(3cm×2.5cm)2枚、印鑑、貯金通帳、個人番号確認書類、求職申込書
申請手順や支給条件等の詳細はこちら
クレジットカード作成・ローンを組む
こちらは意外と忘れがちですが、必要に応じてクレジットカードを作成したり、ローンを組んでおくとよいでしょう。
サラリーマンとフリーランスの大きな違いの一つに信用度があります。
企業に勤めている方が一般的に信用度が高く、容易にクレジットカードが作成できたり、高額・低金利でローンが組めます。
いずれも支払い能力を考慮しながらではあるが、退職前に手続きを行うとよいでしょう。
年会費無料で海外旅行保険が付帯しているおすすめのクレジットカードを紹介しておきます。
まとめ
今回の記事では、企業を退職しフリーランスになる方に向けて、退職のための手続きや企業に勤めているからこそできることを中心に退職前にすべきこととその大まかな手順、留意点を紹介しました。
あくまで基本的な実施事項なため、それぞれが置かれている状況や進むべき道によって異なる点があるため、ちょっとでも不安な場合は然るべき人に確認することを推奨します。
この記事のまとめです。
- 社内での退職手続きの確認
- 有給休暇消化と引き継ぎのスケジューリング
- 退職金/企業型DCの確認と手続き
- 社会保険の手続き
- クレジットカード作成/ローン組み
企業を退職し、フリーランスとして進むとなるとこれまで会社が行なってくれていたことを全て自分で行う必要があります。
それ以前に退職前の企業内での手続きや業務を終わらせる必要があり、実施事項を整理し優先順位をつけてこなす必要があります。
おそらく、これからフリーランスとして生きていくと覚悟したあなたはその点も踏まえての覚悟だと思います。
とはいえ、初めてだとわからないことばかりで抜け漏れや、手続きに時間がかかってしまいます。
少しでもそのハードルを下げ、一歩踏み出しやすくなれば幸いです。
コメント