海外でボランティアしてみたい
国際協力に興味がある
なんとなく青年海外協力隊ってかっこいい
そもそも青年海外協力隊ってなに?
この記事に辿り着いたということは、『青年海外協力隊』に対して少なくとも何かしらの興味があってのことでしょう。
元青年海外協力隊員だったわたしが包み隠さずお伝えします。
この記事は以下のような人におすすめ!
- 青年海外協力隊になりたい
- 青年海外協力隊のことを知りたい
- 就職先の選択肢に迷っている人
- 海外で働くことや国際協力に関心がある人
青年海外協力隊とは
まず初めに青年海外協力隊とは?
開発途上国の国づくりに貢献できる人材を現地へ派遣、帰国後もグローバル人材としての活躍が期待されています。
青年海外協力隊HPより
JICA(独立行政法人国際協力機構)が派遣する青年海外協力隊/シニア海外協力隊は、開発途上国で現地の人々と共に生活し、同じ目線で途上国の課題解決に貢献する活動を行っています。帰国後は、日本をはじめ様々な国や分野で、経験を生かした貢献が期待されています。
オフィシャルでの概念は上記のようです。
これでは味気がないので、実際に青年海外協力隊として活動した経験から、
青年海外協力隊がどんなものなのか、役割なのか、この経験をどう活かしていきたいかをお伝えします。
わたしが考える青年海外協力隊
“自分自身がやりたいことの実現手段のひとつ”だと考えています。
例えばわたしの場合、
・漠然と海外で働いて(活動して)みたい
・水泳が大好きだから水泳に関わることをしたい
・東京オリンピックに関わりたい
上記の動機で青年海外協力隊に応募しました。
なぜ、上記の理由が青年海外協力隊に繋がったのかというと、『途上国で水泳強化を通じ、東京オリンピックに選手を派遣したい(できたらいいな)』と思ったからです。
ここまでだと、自己中心的な考え方、全くJICAの期待に沿っていないと感じる方が多いでしょう。
でもわたしはそうではないと考えています。
わたしがやりたいことを全力で全うすることで、JICAが期待する“グローバル人材×途上国への貢献”を実現できると考えています。
わたしのイメージはこんな感じです。
- 現地生活で派遣国の人とコミュニケーションを取りながら、水泳指導や普及活動を行う
- 競技人口が増えると競技力が上がり、国内での関心が高まりさらに競技人口が増える
- 国内で競技力が上がれば、オリンピック含め国際試合や練習経験が増える
- わたし自身も派遣国での生活を通じ現地への理解や活動経験を通じ帰国後、独自に青年海外協力隊としての経験を活かし同様の機会(事例)を作る
上記を無限ループさせていく事で、結果としてJICAが求める青年海外協力隊像になると考えています。
つまり、わたしは“自分自身がやりたいことの実現のための手段”を起点としているけど、
結果としてJICAが求めていることに繋がっていると考えています。
そのためここで伝えたいことは、
- 国際協力に関心がある
- 途上国の人の役に立ちたい
- グローバル人材になりたい
のようないかにも『青年海外協力隊』である必要はないということです。
派遣国で自分自身がやりたいことを実現しようとしたら、現地の方とのコミュニケーションが必須だし、その中で異文化理解も深まります。
そうすれば自然と現地の方目線での課題解決に貢献していることになるし、結果としてグローバル人材になれると考えています。
グローバル人材が具体的に何かは
別途議論が必要だと思いますが…
“自分自身がやりたいことの実現手段のひとつ”であり、それを全うすることで結果としてJICAが求めていることに繋がるということです。
青年海外協力隊になるには
通常の就職活動同様、選考を受けて合格することで青年海外協力隊予備生になれます。
その後、派遣国により二本松もしくは駒ヶ根で70日間の訓練を終え、晴れて青年海外協力隊になれます。
簡単に選考と訓練の内容を記載しますが、詳細は別途記事にしたいと思います。
青年海外協力隊の選考
青年海外協力隊の募集はの年2回行われています。
5月中旬から募集開始し、10月ごろに最終合否が決まる春募集
11月ごろから募集開始し、翌年4月ごろに最終合否が決まる秋募集
選考内容は両方共通して、①書類・健康診査 ②面接の2段階です。
書類審査ではわたしが応募した当時は、『共通項目』『職種別項目』の2つのパートで構成されていました。
面接では志望する職種や派遣国に関する内容がメインとなります。
青年海外協力隊の選考で重要な点は2つです。
ひとつは、優秀な人材を選出するためではなく、募集内容と志望者のマッチングのために選考が行われているということです。
つまり語学堪能で多数の資格保有者であっても、募集内容に一致していなければ合格しません。
もしくは他の職種・派遣国を勧められるケースもあります。
もうひとつは、健康であることです。
派遣される国はほぼ全ての国で、日本と比べ医療水準が低い国・衛生面も劣っている国です。
派遣国で発症する恐れのある持病や既往歴や現地生活で困るようなケガがあると健康面が理由で不合格になったり、訓練中や派遣中であっても派遣延期や一時帰国になることがあります。
それくらい健康審査は重視されています。
健康優良児のわたしは具体的にどんな疾患や既往歴があると不合格になるのかはわかりませんが、アキレス腱を訓練中に切って派遣が延期になったケースは2人知っています。
また、派遣国でGBS(ギランバレー症候群)を発症し、一時帰国した隊員もいました。
あとは低体重(BMI値が低すぎる)で1回目不合格でリベンジ受験している人もいました。
日本であれば医療機関で適切な治療を受けることができますが、途上国ではそうもいきません。
そのため、病気やケガで“万が一”が懸念される場合は、不合格になります。
青年海外協力隊の訓練
青年海外協力隊の選考試験が通っても、まだ正式には青年海外協力隊ではありません。
あくまで予備生です。
語学や派遣国で気をつけることなどを学ぶ70日間の訓練を終えることで初めて青年海外協力隊になれます。
これが想像以上にきつい!
・毎日8時間ほど語学勉強、課題もたくさん
・毎週、予防接種
・70日間も共同生活
・語学以外のレポートもある
・泳げない
人によってきつい度合いは違いますが、隊員間でよく挙がるきつい理由です。
わたしは語学と泳げないことが結構ストレスでした。
しかも二本松も駒ヶ根も僻地にあり、平日は気分転換で外に出ることはほぼ困難です。
つまり、過酷な生活の中でストレス発散する術も限られているということです。
そのためせっかく選考試験に通っても、70日の訓練に耐えられず辞退する予備生もいました。
とはいえ、ジムがあり、個性豊かな同じ志を持つ同期隊員もいるため、70日を終える時には非常に楽しく有意義な時間だったと感じています。
むしろ訓練中の70日だけでも青年海外協力隊の選考に通って良かったと思えたほどです。
青年海外協力隊になるための心構え
実際に青年海外協力隊員としてカンボジアで活動した経験から、あらかじめ心しておいた方が良いことをお伝えします。
いくつかありますが、その中でも3つ紹介します。
理想や期待を抱きすぎない
おそらく誰しも青年海外協力隊になり、派遣されたら派遣国での活動に対して理想や期待を抱くことかと思います。
あんなことしたい、こんなことしたい、こうしたら喜ぶだろう….など。
それって本当に現地の人が求めていることですか?
派遣要請は選考の数ヶ月から1,2年前に政府(現場とは大きく離れている人)同士が決めています。
もちろん現場のニーズは聞いていますが、派遣されたタイミングと状況が大きく変わっていたり、現場の頭数を増やすことが目的なのでは?と思うような状況もあります。
そんな時に自分の理想や期待を実現するために現地の方のニーズや気持ちを考えず、自己満足な活動になったり、理想や期待と大きくかけ離れており絶望・失望してしまうことがないよう、“ほどほどに”を意識して欲しいです。
自分自身のことをよく知っておく
自分自身をよく知ることのメリットは2つです。
①ストレスコントロールができる
どんな時にストレスが溜まるか、何をしたらストレスを解消できるかをよく把握しておくと良いです。
慣れない海外での生活、思うように進まない活動でストレスがかかることは少なくありません。
しかし、ストレスがかかりやすい状況・環境・行動などを知っていれば、ストレス要因を回避することができます。
また、ストレスをすべて回避しようとするのは不可能ですが、その解消法を知っていればストレスが溜まって限界を迎える前に対処することができます。
ストレス耐性が必要という人もいますが、耐えて耐えて耐えた結果限界を迎えてしまうこともあります。
そのため、ストレスは耐えるものではなく、うまく回避し解消するものだとわたしは考えます。
そのために自分自身をよく知ることが大切だと考えています。
②できる(得意な)ことがわかる
できること(得意なこと)とできないこと(苦手なこと)を知ることで、自分が活躍できる、役に立てる部分が明確になります。
できないことに関しては、現地の人を巻き込んで一緒に活動していけば良いです。
全て自分でやらなければと背負いすぎると疲れるし、活動は絶対に上手くいきません。
自分自身のことをよく知ることは、青年海外協力隊に限った話ではないので、一度自己分析・自己理解をしてみるとよいかもしれないですね。
八木仁平さんのYouTubeは自己理解をするのにおすすめなので一度観てみてください。
【おすすめ書籍】
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著者:八木 仁平
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著者:八木 仁平
ほぼ上手くいかない、上手くいったらラッキー
日本とは大きく異なります。環境も文化も資源も言語も…
そんな中で日本での経験を生かそうとしても上手くいかないことばかりです。
そこで諦めたり、心折れたり、自己嫌悪に陥るのではなく、ダメで元々、上手くいったらラッキーくらいのノリで活動した方が気持ちもラクだし、何より活動を楽しめます。
同期や同じ国で活動する隊員のキラキラした様子をSNSで見て、『他の人は活躍しているのに、自分は…』と感じてしまうこともあるかもしれません。
それはたくさんの活動の中でのほんの一部であり、ほとんどがうまくいかなかったからこそうまくいったラッキーを自慢したいだけです。
それに惑わされることなく、今そこで自分ができることを精一杯やればいいです。
青年海外協力隊を経験して良かったこと
最後に青年海外協力隊を経験して良かったことですが、より自己理解が深まったことです。
『自らが挑戦者として、挑戦の繋がりを広げる』ということがわたしがやりたいことで、特に水泳やスポーツの領域で実現したいと考えています。
その実現手段として、以下のことを考えています。
・海外のマスターズ水泳大会に出場し挑戦の様子を発信する
・同じように海外の大会に出場したい人をサポートする
・子どもたちのために海外でトレーニングしたり大会に出場したりできる場を作る
青年海外協力隊を経験する前は漠然と『水泳』と『海外』に関わることがしたいと考えていましたが、具体的にどんなことをしたいのか、なぜそれをしたいのかという価値観などが明確になりました。
これって結果として、JICAが期待する“グローバル人材×途上国への貢献”になっていると思いませんか?
“自分自身がやりたいことの実現手段のひとつ”で応募した青年海外協力隊ですが、活動の中での工夫・困難や現地で生活するうちに、自己理解が深まり、JICAの期待となんとなく似ている方向性だったものが明確化されたのだと思います。
まとめ
この記事では青年海外協力隊に対して、興味・関心がある方に、青年海外協力隊とは何かということを紹介しました。
内容をまとめると次のとおりです。
- 青年海外協力隊は“自分自身がやりたいことの実現のための手段”のひとつ
- 選考試験は書類と面接、その後の70日の訓練を経て初めて青年会が協力隊に
- 心構えは『理想・期待はほどほどに』『自分をよく知る』『上手くいったらラッキー』
- やっぱり青年海外協力隊を経験して良かった
青年海外協力隊への理解が深まりましたか?
悩んでいるならまずは一歩踏み出してみましょう!
自分のための活動はきっと誰かの役に立ちます。あなたのスキルを待っている人がいます。
この記事を通じて、青年海外協力隊に興味を持った方が一歩踏み出し、新たな挑戦を始めるきっかけとなれば幸いです。
あなたの“挑戦”を応援しています。
さらに青年海外協力隊のことを知りたければ、各種SNSのDMよりご質問・ご相談を受けますのでお気軽にご連絡ください。
※今は青年海外協力隊ではなく、JICA海外協力隊というようです。
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